ミロンガにて|Tangoの話であったり なかったり(β版)

ミロンガにて

2017年4月 2日

 初めてブエノスアイレスに来て間もない頃、みほ先生に連れて行っていただいた、バスケットボールのコートが会場になっていて、とにかく肉が美味かった「Sunderland Club」というミロンガへ行こうと思ったら、今はやってないという話をアチコチから聞いて、「オーガナイザーは変わったけど、そのグループの人が続けている」と言う方がいたり、今は休業中という話しがあったりで、いまいちハッキリわからず、アパートから近ければ自分の目で確かめればよいのですが、そこはちょっと離れていて、行って休みだったらショックがでかいので、あきらめて別の場所にしました。「La Bruja」というミロンガで、アパートから300メートルほど。ちなみに今まで行ったことはありません。

 実際のところは知りませんが、僕が受けた印象では、古いレストランの跡地のような空間で、ムードのある明かりというより、薄暗いというイメージではありましたが、踊りに来ている人たちの年齢幅が広く、半世紀はミロンガ通いをしていそうなミロンゲーロたちがドヤ顔で踊っている光景を見た瞬間、ようやくアルゼンチンへ来たんだなあと、実感が沸きました。仮に押しなべて平均値をだしたら、日本のミロンガの方が綺麗に動く人は多いと思いますが、味のある爺ちゃんのレベルが半端なくて、ひたすらサリーダを繰り返すだけなのに、どうしてそこまで人生が滲み出るのだというくらい自信に満ち溢れていました。大勢の人がいましたので、なかには一曲も踊れず帰って行かれる女性もいたりはしましたが、会場はずっと活気づいていて、あらためて頑張ってアルゼンチンまで来て良かったと思いました。

 この日は二組のデモがあって、一組目は、名前は存じ上げませんが流石プロという感じで非の打ちどころがなかったのですが、二組目は男性ふたりと女性というユニットで、男性のひとりは上半身裸で黒いストッキングみたいなパンツを履いており、髪型はアフロなのかソバージュなのかわからず、一言でいえば、今にもお笑いのモンスターエンジンの「わたしは神だ!」のネタでもはじめそうな雰囲気。ひとりは全体的に茶でまとめたインテリ風のファッション。女性はキングコングがさらっていきそうな露出度の高い真っ赤なドレス姿。動きのキレと所作の美しさは大変なものなのですが、いかんせん何を表現したいのか僕にはわからず、無理やり頭の中で、「原始人と現代人による美女の奪い合い」だと納得させました。

 そしてデモが終わったら、何事もなかったかのように突然50年代のCarlos Di Sarliが流れはじめて、みんなフロアに出てウットリ踊り出した光景を見て、改めてブエノスアイレスのミロンガのスケールのでかさを感じたわけなのでした。