La Juan D'arienzo|Tangoの話であったり なかったり(β版)

La Juan D'arienzo

2017年4月19日

 昨日は、La Juan D'arienzoで踊りにSalon Canningへ行きました。彼らのCDは聴いたことがあるのですが、本物のダリエンソの演奏をデジタル音源にして蘇らせたかのようによく研究されていて驚いた覚えがあります。赤いシャツと靴に、黒のスーツで揃えた10人編成で、そのうち4人がバンドネオンという豪華さ。演奏をはじめる前に、おのおのメンバーがポーズをとったのですが、それがまるで戦隊ヒーロー物の決めシーンのように派手だったり、自分が演奏していないときにバイオリニストがピョンピョンピョンピョン縄跳びを飛んでいるみたいに跳ねていたり、みんなで一斉に掛け声をあげたり......。実物はCDとは比べ物にならないくらい迫力がありました('-'*)

 ラスト曲は、『La Cumparsita』。本家と同じく、途中でピタッ! と演奏が止まる瞬間があったのですが、そのとき、打ち合わせをしたわけでもないのにフロアどころか周りのテーブル席まで静まり返り、タイミングよく一斉にまた動きだし、まさかこれを生演奏で体験できる日が来るとは......。思わず涙が出るかと思いました。

 もうひとつ嬉しかったのは、彼らと50センチくらいの至近距離で嫁さんと踊っていたとき、アブラッソを通じて明らかに今までとは違う熱量が伝わってきたことでした。フロアは左まわりに流れていきますので、同じエリアでいつまでも踊っているわけにはいかず、演奏をしている場所から離れた瞬間にトーンダウンはしてしまいましたが、あのとき彼女は間違いなく心の底から踊っていたと感じました。

 ちなみに今、僕が書いている「踊る」とは、音楽に合わせて綺麗に動くことではなくて、笑うとか怒るとか泣くとかといった本能の話です。普段レッスンをしていても、この部分を伝えることは結構難しくて、例えば笑い方を教える場合、「話している相手がギャグを言ったら、口角をあげて腹筋に力を入れて痙攣させながらハハハハハと声を出しましょう」と説明しても、そこに感情が入っていなければ表面的と言いましょうか......。マリア・ニエベス先生がひたすら教えて下さったのが、タンゴのこの部分でした。

「息遣いとか空気が震えてる感じとか、同じ生演奏でもスピーカーを通して聴くのと全然違うのね。幸せだったー」

 サラリとそんなことを言ってのけたのを聞いて、頼もしく感じたわけなのでした。