経験|Tangoの話であったり なかったり

経験

2018年3月21日

 編集プロダクションを立ち上げたのが28歳のときですか。組織というのがどうも苦手でフリーになろうと思ったのがきっかけで、会社にしたのは成り行きです。一生かけても到底返しきれない恩を感じている仲間たちと出会い、僕にとっては血が繋がった家族よりも思い出が多く、絆も強く感じていて、だから会社から離れてからもなお、こうして僕のことを思い出して使ってくれたことを嬉しく思っています。

 当時の僕は、目の前にある問題を乗り越えることで精一杯......いや、乗り切れられずに逃げてばかりだったので、今にして思えば自己嫌悪と劣等感だけで構成されていたような気がします。それを自分が嫌かどうかということよりも、僕の勝手な都合でさんざん周りに迷惑をかけてきて、それに対してどう向き合っていくのかということが僕のタンゴのベースになっています。だからダンサーさんの踊りとかってあまり興味がないんですよね。それより僕に習いに来てくれている生徒さんたちの踊りの方が遥かに気になるわけです。

 今回久しぶりに「一冊」という単位で編集の仕事をさせて頂いているわけなのですが、時間にシビアな世界ですから大丈夫かなと若干の不安はあったものの、その点については問題なく、考えてみればコンマ数秒の時間をどれだけ有効に使うかってことに向き合っている毎日ですからね。世界は違っても繋がっているのだなと感じる今日この頃でございます。