スタンス|Tangoの話であったり なかったり

スタンス

2018年10月 5日

 今回アルゼンチンではっきりわかったことは、僕は大してダンサーに興味がなく、また色んな人と踊りたいという欲求もないということでした。きっとこれは、タンゴをはじめる前からずっと漠然とわかっていたことなのですが、それってタンゴの世界に関わっている身としては有り得ない話で、僕が未熟だからそうなのだと思っておりました。しかしみんなと夜な夜な痛む脚を引きずってミロンガへ行って、よせばいいのに好きな曲が流れれば踊らずにはいられない自分と出会ったとき、ああ僕は、自分にとって大切な人たちとタンゴが流れる空間で飲んだり笑ったり踊ったりすることが好きなのだ。それ以上のことを望んでいるわけではないということを確信致しました。なのでタンゴを教え、選曲をし、ミロンガをオーガナイズするという、一見どこを主体にしているのかわかりにくい僕のスタンスに、自分なりの明確な答えが見つかった気分でございます('-'*)

 僕が教えているタンゴは、テクニカルな部分よりも世界のどこでも通用するエッセンスに重きを置いていて、今回ツアーで一緒に行った生徒さんたちが、自然と様々な国の人たちと誘い誘われながらフロアに出て行く姿を見たとき、安心と共に心の底から「すげえなあ......」と思ったものでした。少なくても僕は、初めてアルゼンチンのミロンガで女性を誘うまでには相当の時間がかかりましたから(笑)。選曲やミロンガについては、自分が踊りたいと思う曲しか流しませんし、自分がやりたいと思う場所でしかミロンガは致しません。そしてやっぱり望むのは、自分がひとりの客として純粋に楽しめるミロンガが、いつか日本に生まれることでしょうか。きっとその日のために僕はこの仕事をしているのだと思います。