週末|Tangoの話であったり なかったり(β版)

週末

2021年1月18日

 先週の土曜日は僕のタンゴ人生のなかで一番と言ってもいいくらい幸せな一日でした。少なくても生涯忘れることはないでしょう。というのも昔からずっとやって欲しいなと思っていた男性ふたりにタンゴを教えることができたからです。そしてこの日来てくれた生徒さんたちを見ていたら、タンゴの明るい未来しか想像することができず、心の底からこの仕事をしていて良かったと思えました。

 最高の気分のまま眠りについた翌朝、コぺスが亡くなったと知りました。ファンカルロスコぺス。アルゼンチンタンゴ界のパイオニアにして僕のタンゴの生みの親であるマリアニエベス先生の元パートナー。本人に直接お会いしたことは数えるほどしかありませんが、マリアさんを通じて僕のタンゴの核をつくって下さった方です。また、マリアさんは女性かつ生粋のダンサーのため教えの経験がほとんどなく、例えばリードのやり方や音のとり方などを論理的に教えることはできません。「んー、なんか違う」「ノー」。ひたすらそんなことを繰り返してマリアさんにとって違和感のない瞬間を探っていくというレッスン方法だったわけですが、それにしても的が広すぎるので、カルロスサウラ監督の映画『タンゴ』のなかでコぺスが踊っているシーンを何百、何千回と観て方眼紙に音のとり方を記入して、手拍子で合わせてみたり振付けそのものをコピーして踊ってみたりして勉強していました。

 そのせいでしょうか。きのうはプライベートレッスンがが重なっていて、追悼の意を込めコペスが踊っていた曲を流すと、無意識のうちにコペスが使っていたステップで、音取りも普段の僕とは違う。自分であって自分でないような感覚。コペスは僕のなかで生き続けていると実感した瞬間でした。そしてあの土曜日は、コペスがプレゼントをしてくれたのかな? なんて思ってみたりしたくもなりました。

 心から御冥福をお祈り致します。