六甲おろし|Tangoの話であったり なかったり(β版)

六甲おろし

2017年5月10日

 朝の散歩の帰り道、「富士そば」の看板が目に飛び込んできて、無性に食べたくなりました。朝御飯はしっかり戴いたはずなのに......。日頃、意識をしたこともなかった富士そば。四谷にはなんといっても「つぼみ屋」があり、そうでなくてもコンビニより多いのではないかと思うほど立ち食い蕎麦の激戦区です。この富士そばは、市ヶ谷駅から日テレ通りを下って靖国通りにぶつかるT字路にあり、四谷からは少々離れているので、入ったことはありません。(ごめん!)と誰に向かってかわからないけど心の中で謝って、券売機に500円玉を入れました。

 選んだのはコロッケ蕎麦です。一見、食のタブーを冒しているかのようなこの組み合わせ。立ち食い蕎麦ならではのチープ感があって、僕は大好きです。サクサクのコロッケに汁が染み込んでドロドロになっていく様は、クリームソーダの美しいエメラルドグリーンの液体にアイスクリームが溶けて石鹸水みたいになってショックを受けた幼少期を思い出してノスタルジックな気分になると共に、ささやかな背徳感が食欲を更に増幅させてくれるのです。

 ......ん⁉「コロッケ蕎麦」と「クリームソーダ」って、語感までチョット似てますね('-'*)

 そういえば、富士そばは外国人観光客にとっての聖地になっているというようなことをニュースで見た記憶があり、その理由として「富士」の文字が富士山を連想させるからだと言っていたような気がするのですが、僅か一ヶ月とはいえ外国帰りの僕が感じたのは別の理由でした。BGMです。コテコテの演歌は例え詩の意味がわからなくてもコロッケ蕎麦のように心に染みます。コチラの社長さんは、演歌の作詞家としても活躍していらっしゃるわけなのですが、立ち食い蕎麦屋から聞こえるスーツ姿のサラリーマンのズルズル麺をすする音と演歌の哀愁に、ある意味、日本文化の真髄を垣間見たような気分になるのではないでしょうか。あのつぼみ屋さんですら、開店当初はプロレスラーみたいなお兄ちゃんがサンバを流してノリノリに営業していましたからね。外国人観光客にとって、富士そばの雰囲気が好まれるのはわかる気が致します。そして愛するつぼみ屋さん、話のダシに使ってしまってゴメンナサイ(´;ω;`)

 昼は一昨日スーパーで試しに買ってみた「明星チャルメラ バリカタ豚骨」の袋麺とアラ! と山葵ふりかけと御飯の組み合わせ。実は一昨日も夜食でこのラーメンを食べているのですが、飲み過ぎでイマイチ味を覚えていなかったので、もう一回試してみようと思ったわけでございます。スープにおろしニンニクをこれでもかとぶち込み、紅生姜と高菜とチャーシューをトッピング。

 ......イケる('-'*)

 特に麺。細麺好きの僕としてはそれだけでもオッケーなのに、店で食べているみたい。

「チョット食い過ぎだろ!」という声が聞こえてきそうですが、アルゼンチンに居る間はあまり気にならなかったけど、やっぱり身体はジャパンなフードを欲していたようです('-'*)

 夜はNさんから東京ドームのバルコニー席に招待して頂き、伝統の一戦を観戦。いつ来ても、ここと競馬場の馬主席は世界が違います。試合もタイガースが勝ち、言うことナシ。外野席から聴こえる歓喜の六甲おろしに耳を傾けながら、ふと親父のことを思い出しました。生きていれば、Nさんの二歳上。彼が僕のことをときどき息子のように接して下さり、こうして野球を観に来たり、昔は意見が衝突して喧嘩をしたり。ひとつの喧嘩を乗り越えるたび何かが生まれて、今こうしてここにいるのだと思います。そして、申し訳ないと思いつつ、親父と姿がダブってしまうことがあるのです。もっとも、親父とドームに来ていた頃は、バルコニー席の存在なんて知らなくて、外野の自由席ばかり。この六甲おろしも輪の中で聴いていました。親父だったら今、なんて言うのかなあ。ひとつはハッキリしています。Nさんも同じことを言いました。「嫁さんを大事にしろよ」。もうひとつは......。心を澄まして聞こえてくるのは、親父の口癖、照れたような笑顔で「気にするな」の一言でした。

(そりゃそうだ......)と僕も心の中で苦笑しました。今この瞬間、一番大事なことは、タイガースが勝ったということ。それだけなのですから('-'*)

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