テルちゃん|Tangoの話であったり なかったり

テルちゃん

2022年3月29日

 日曜日に僕がDJを務めさせて頂いたミロンガに、弟子のテルちゃんが遊びに来てくれました。彼女はライブが好きで、ライブのないミロンガにはまったくと言っていいほど興味がありません。「師匠、演奏中は集中して聴きたいから誘わないで下さいね!」と言われましたが、こうして自分が主催するミロンガでない場所で彼女と踊る機会に恵まれたのは、実に3年半前のブエノスアイレスぶり。「誘うに決まってるだろう。2ステージ目に入ったら来るからね」と答えてDJブースに戻りました。

 彼女は目が不自由かも知れませんが、他のセンサーは恐ろしく鋭く、また記憶力、頭の回転力、自分の立ち位置の取り方、富士山に登ってその足でレッスンに来るほどの根性、人としての器などなど、どこを取っても僕なんかとはスケールが違い過ぎます。そんな頼りない僕に、何があっても変わらず欠かさずずっとレッスンに通い続けてくれている、どれだけ感謝しても足りない存在です。

 翌日、僕らの踊りを見ていた美帆さんから、「テルちゃん凄かったです!」と言われました。彼女は彼女で現役のミュージカル女優でもあるバレエダンサー。そんなひとからの言葉だったので素直に嬉しかったです。だってテルちゃんは自分の踊りを確認することも他のひとがどう踊っているかもわからないのだから。少しでも自分の踊りに自信を持ってくれたら何よりです(もとよりそんな小さなことを気にする子でもないのですが......)。

 僕にとって彼女ほど「いま俺はタンゴを踊っているんだな」と感じさせてくれる女性はいません。いつも勿体なさ過ぎると思っていますが、そんな彼女から「師匠」と呼んでもらえることに感謝と責任を感じています。

 タンゴではないですが、僕が大好きな写真です。モンゴルでマイナス30度のなか、2時間乗馬して休憩中にマスクを外した瞬間だそうです。

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