感覚|Tangoの話であったり なかったり

感覚

2018年11月 1日

 アルゼンチンから帰ってきて、向こうでとりあえず詰め込めるだけ詰め込んできた感覚を整理するのに精一杯で、最低限のエクササイズと筋トレはしているものの、アルゼンチンへ行く前の前向きなものではなく、あくまでルーティンとしてこなしている感じだったのが、ようやく少しずつ自分の身体と向き合えるようになってきました。......というより足の痺れが悪化する一方で、これ以上放っておくわけにはいかないというべきでしょうか。僕にとって足は消耗品。風呂に入れば身体のどの部分より丁寧に洗い、マッサージもするしケアもする。散歩やエクササイズも足の状態と相談しながら。ときどき目一杯追い込みたい感情に駆られることはあるけれど、そんなことをすればリバウンドが恐ろし過ぎる。そんなわけで、とにかく自分のペースを守るというのが僕にとってタンゴを長く楽しむ秘訣みたいなところがあるのですが、今回アルゼンチンで、踊るどころか歩いたり椅子から立ち上がったりするのも困難なほど追い込まれ、でもそれはそれで、この先に待っているものが見たくなってフロアに出て、するとその姿を見ていたミロンガの主のような女性から「あんたチョット私と踊ってごらんなさいよ!」といった口調で誘われ、足が痛いのもさることながら釈迦の掌の上で踊る孫悟空のような気分を味わい、すると今度は別の女性から......といった感じでございました。

 そういえば僕がタンゴをはじめた翌日から、親のスタジオのカウンターでワインを注いだりしながら手伝いをしていると、よその教室の先生が僕を遠くから右の人差し指でクイクイ手招きして、まさに「たけしくんタンゴはじめたんだって? チョット私と踊ってごらんなさいよ!」と呼び出されたものでございます。これは何かの通過儀式のようなものなのでしょうかね。......まあいいや。特に今回は、自分の中で「タンゴ」という部分について初心に帰って見つめ直してこようというテーマを持っていたので、ボロボロで一歩足を踏み出すのも困難ななか、格上の女性たちと踊らせて頂くと何が無駄なのかよくわかります。こういう経験て、きっとあとからじわじわ効いてくるのでしょう。......感覚さえ覚えていられれば('-'*)