一歩一歩|Tangoの話であったり なかったり

一歩一歩

2018年6月22日

 きのうは昼間のレッスン後、アルマンドがLOCAへ遊びに来てバンドネオンを弾いてくれました。初めてバンドネオンを見る人も多く、まして演奏しているのは人生の大半を本場でタンゴを弾いて生きてきたマエストロ。とても貴重な時間だったと思います。彼より指が動くミュージシャンはいるかも知れませんが、ブエノスアイレスの空気が匂ってくるようなタンゴを聴かせてくれる人はそういません。

 演奏が終わったあとのミロンガタイムでアルマンドも少し踊ったのですが(といっても彼はステップを一切知らないので左右に揺れるだけですが)、後ろで踊っていて彼の味の深さというか懐の大きなアブラッソというか、自分が子供に思えてきました。......そうなんだよなあ。初めてブエノスアイレスにタンゴの勉強へ行ってミロンガで踊ったとき、足型をなぞらえて踊るということがタンゴの表面しか触れていない気がして、なるべくそういったものは排除してシンプルに踊ろうと心掛け、いつか自分が年を取ったとき、若い人たちから「あの糞爺、くえねえ踊り方すんなあ」と言われるようになりたいと思いながら現在に至るわけなのですが、まだ遠いですねえ......。ま、だからこそタンゴは長く楽しめるのですけどね。僕がアルマンドの年になるまでまだ四半世紀ありますから......。ゆっくり、でも足はとめずに歩いていきたいものでございます。