昨夜の話|Tangoの話であったり なかったり

昨夜の話

2019年12月10日

 昨夜のレッスンに来られた男性のなかで、先週までと少し雰囲気が変わった生徒さんがいたので、「どこかミロンガに行ってきました?」と聞いたら、彼はニコッと笑って頷きました。ほのかな自信のようなものを感じたんですよね。僕は、男性はいかに多くの女性と踊るか、女性はいかに丁寧な男性と踊るかが上達の秘訣だと考えています。くれぐれも「丁寧=上手」ではありません。習いたての男性でも丁寧さを心掛けて踊っている方もいれば、ベテランで雑な方もいますから。

 その生徒さんはタンゴ歴が5、6年と言ったかな? 僕のところには半年ほど前から来られるようになって、最初の頃はもっと色んなステップを知りたそうにも見えたのですが、僕は基本的な音のとり方と自然なアブラッソの組み方を中心にレッスンを続けました。ひょっとしたらそれは彼にとって物足りなく感じていたかも知れません。しかし、徐々に女性から「踊りやすくなった」と言われる機会が増え、音に乗る楽しみも感じるようになってきて、「バルドッサばかりだと女性が飽きるんじゃないかと思って......」と口癖のように言っていたのが、昨夜の話では、バルドッサを中心に組み立てながら駆け引きを楽しめ、そこに手応えを感じた節が見受けられました。その生徒さんは定年退職を迎えられていますが、向上心の塊みたいなところがあって、きっといま、タンゴがめちゃくちゃ楽しいんじゃないかな。とても素晴らしいことだと思いました。