感謝とエール|Tangoの話であったり なかったり

感謝とエール

2020年8月 5日

 プライベートミロンガがとても増えているらしいですね。「この流れどうなんでしょう?」と、同業の方から聞かれました。僕は自然なことだと思っています。以前、コロナ禍にあってもアルゼンチンタンゴという文化が消えることはないという趣旨のブログを書いたことがありますが、理由のひとつもそれです。ちなみに僕は、この現象をタンゴクラスターと呼んでいます(笑)。クラスターが残っていれば火種は消えない。コロナと同じことが言えるというのは皮肉ですが......。ただ、前にも書いた通り、今はプライベートミロンガを渡り歩く時期ではないと考えています。

 さて、ある生徒さんがレッスン日記をネットに公開していて拝読させて頂いております。立場上、僕も登場する機会はあって、「こんなこと言ってたんだな」とか、「こんな風に受け取られていたんだな」とか、あらためて考えさせられることも多いです。特に最近書かれたものの中に嬉しいことがふたつありました。ひとつは先輩について。先生というのはクラスの空気を生みだすきっかけに過ぎず、つくるのは生徒さん。そのなかで先輩の存在というのはとても重要です。ゆえに僕は先輩になればなるほど厳しくなります。どんな踊り手になるかを僕が決めることはありませんが、指導者である以上、理想とするイメージは当然持っていて、日記に出てきたその先輩は、イメージがそのまま言葉になっていました。またそんな先輩に対して憧れと嫉妬心を持っていることも嬉しかったです。そのどちらかだけでは良好な関係は長く続かないですからね。

 もうひとつはその日のタイトル、「踊れることは、当たり前じゃない」。僕がレッスンなどを通じて一番伝えたいことがそれなのです。明日がどうなるかなんて誰にもわからないし、ペアダンスである以上、踊る相手をリスペクトする。だから今できる一歩に手を抜かない。頭で理解するのと心で理解するのはイコールではなく、彼女は心で理解したんだなと思いました。これほど嬉しいことはありません。感謝とエールを込めてリンクを貼らせて頂きます。