最近思うこと|Tangoの話であったり なかったり

最近思うこと

2021年5月 4日

 タンゴを学びたての頃、マリアニエベス先生に「ミロンガへ行きたいからミロンガで使えるステップを教えて欲しい」と頼んだら、「バカモン!(←くらいの勢いがあった)そんなもの自分で考えなさい!」と一蹴されたことがあり、当時は何を言ってるんだろうと思ったものですが、今となってはその意味がよくわかり、音楽の捉え方や身体の動かし方、ステップの使い方の基本がわかってきた生徒さんには僕もそうやって習ったという言葉を添えて同じことを言っています。すると動画やミロンガでみたステップもしくは頭の中のイメージを僕に真似てやってみせてくれ、「それはこうやっているんじゃないかな」「その部分はこうアレンジした方があなたには似合うんじゃなかな」といった感じでやりとりをして、その時間は僕にとってもとても有意義で、(そっか。俺もこうやってマリアさんとコミュニケーションを取ればよかったんだな......)と思ってみたりします。

 また、僕が選曲をはじめた頃、ある程度の波は考えながら誰もが踊りやすい曲を第一に組んだところ、カルロス・リバローラ先生から「まるでスーパーのBGMみたいだね」と言われたことがあり、顔が真っ赤になるどころか自殺したい気分になったことがあります。でもその言葉がなかったら、今の僕とはまったく違う今があっただろうと思います。

 結局のところ、どんなにカッコいいステップでも素敵な音楽でも、使う側次第で生きもすれば死にもする。使いたければ何が必要かを見定めることが大事なのだと今はよくわかります。マエストロと呼ばれる人たちは、アドバイスが概念的だったりすることがままありますが、時間が経てば経つほど身に染みてくるものですね。