Tango Bardo Japan Tour 回顧録-2|Tangoの話であったり なかったり

Tango Bardo Japan Tour 回顧録-2

2023年6月26日

 タンゴをはじめてかれこれ約20年。パーティ(今でいうミロンガ)の手伝いなどを含めると、タンゴと関わって30年は経とうとしています。そのなかで、大したタンゴ人生ではありませんが、これだけは本当に運が良かったと思えることがひとつだけあります。ブエノスアイレスで、しかもマリアニエベス先生から最初にタンゴを教えてもらえたことです。決して仲が良い親子関係ではありませんが、このことについては母に心から感謝しています。

 だからかな。結婚してしばらくして彩ちゃんがタンゴを勉強したいと言い出したとき、迷わずブエノスアイレスへ行こうと思いました。6年前の話です。僕にとってブエノスアイレスのタンゴが特別だとか、日本のタンゴが劣るとか、そんな考えはありません。あるとすれば、タンゴはその場所の背景と馴染みながら広がっていくので、タンゴそのものが生まれた土地を知ることに意味を感じているということでしょうか。そのとき初めて一緒に聴いたライブがTango Bardoでした。

(よく見ると僕らが映っています......)

 本当は、彩ちゃんと美帆さん、すなわちAGITOの3人で揃って出発する予定でしたが、美帆さんに舞台の仕事が入った関係で途中から合流。逆に彩ちゃんは仕事の関係で途中で帰る。しかも彩ちゃんを送り出して何時間も経たないうちに美帆さんが到着するという、なんとも不思議なタイミングになりました。

 今回はそこにGraceという生徒さんが加わりました。彼女は超一流の外資の会社に勤めていて、就職が決まって勤務先をどこの国にするかも選べたのに、タンゴをやりたいから日本にした、まして東京にはいくらでもアルゼンチン人の先生がいるなかで、なぜか僕のところに通ってくれているという独特の視点を持っている女性です。語学堪能、料理はシェフ並みにうまい、裁縫も得意でタンゴの衣装もつくれる、コンピュータに強い、それでいて謙虚......。ここまで優秀な人物を僕は知りません。彼女のお陰でどれだけスムーズな滞在生活が送れたか。

 このように、既にこれだけ多くのかたの力をお借りして、ブエノスアイレスに到着したわけでございます。

<つづく>