Tango Bardo Japan Tour 回顧録-3|Tangoの話であったり なかったり

Tango Bardo Japan Tour 回顧録-3

2023年6月27日

 DJとして選曲するとき、僕は比較的新しい楽団を入れるようにしています。黄金期の演奏の良さは十分わかっているつもりですが、いま生きて活躍しているミュージシャンをもっと知ってもらいたいという気持ちがあるからです。とはいえ誰でもいいというわけではなく、明確に好みはあります。

 いったい何が違うのか。一言でいえばタンゴを感じるかどうかです。

 タンゴが嫌で嫌で逃げ続けてきた僕が、ブエノスアイレスでマリアニエベスの踊りをみて、「人間とは思えない。もはや神だ」と感じた。同じステージにはもっと華麗に踊るダンサーたちがいて、「凄い」とは感じるのだけど彼女とは決定的に違う。Tango Bardoにはマリアさんに感じたタンゴのにおいがしました。

 では、タンゴってなんなんでしょうね。僕の中に明確な答えはあるのだけど、傍からどう映っているかはわからない。正直言ってあまり興味もありません。気にしてしまうと自分の中の核がぶれそうだから......。どんなに頑張っても僕はアルゼンチン人にはなれないので踊りの表面をなぞるのはやめようと思っている。それだけです。

 文化的背景は置いといて、アルゼンチン人に共通して感じるのは積んでいるエンジンの大きさです。身体の大きさではなく出力がデカい。DNAもあるかも知れませんが、長く向こうに滞在している日本人にも感じるので、食事の影響も大きいのだと思います。だってホント肉ばっかり食べてるもん。僕もアルゼンチンにいる間はとにかく肉。もう見るのも嫌なくらい食べても、何時間が経つと身体が肉を欲してくる。今回アルゼンチンに居るあいだに、日本で食べる一年分以上は軽く超えたと思います。

<つづく>