Tango Bardo Japan Tour 回顧録-4|Tangoの話であったり なかったり

Tango Bardo Japan Tour 回顧録-4

2023年6月29日

 Tango Bardoと打ち合わせをするにあたり、なんといっても問題なのは言葉でした。僕はスペイン語はおろか英語もさっぱりわかりません。マリアさんから「タンゴを学ぶならスペイン語を覚えなさい」と言われ続けてきたけれど、正直怠けております。ごめんなさい。

 でもどこか、自分の中に詩の意味を知りたくないという感情があるのも事実です。タンゴってほとんどが男の未練の歌でしょ。詩の内容が頭に入ってきてしまったら、どんな顔して女性を誘って踊ったらいいのかわからなくなってしまいそうで。だから僕は、勝手にこんなこと歌ってるんだろうなあとイメージしながら踊るで十分だったりしているのです。......まあ、言い訳ですが。

 そんな折、ルーカスから「日本人の女性の友人がいるから大丈夫」というメッセージをもらいました。翻訳ソフトを駆使して話そうと思っていたので、これほど有難い話はないと思いつつ、本当に甘えていいのだろうか? という気持ちもありました。以前Romantica Milongueraのストリーミングミロンガの際にもお世話になった中村樹里さんというバイオリニストで、そのときはMessengerでのやりとりだけでお会いするのは初めて。まあ、なんというか。彼女の存在なしにツアーの成功は有り得なかったでしょう。仮に実現できたとしても、これほどスムーズではなかったでしょう。というのも、単に言葉を訳して下さるだけでなく、僕の気持ちやBardo側の状況、タンゴミュージシャンの考え方など、驚くほどよく気がまわるし、こちらが申し訳なくなるほど優しい。どれだけ助かったかわかりません。

 久々に聴くTango Bardoは、以前にも増して迫力を感じました。ルーカスって前からあんなに足を床に叩きつけながら演奏してたっけ?

 だけどやっぱりカッコイイ! CD音源もいいけど、やっぱりこのひとたちはライブでこそ真価を発揮する。あらためてそう思いました。

<つづく>